工場ごとにバラバラな管理、心当たりありませんか
「あの工場の最新仕様書、どのチャットに貼ったっけ」「A工場とB工場で単価の交渉履歴がごちゃまぜになっている」「担当者が変わって、過去のやり取りが引き継げない」。中国輸入・OEMを複数工場でまわしていると、こうした状態は珍しくありません。WeChatやメール、Excelがバラバラに散らばり、探すだけで時間が溶けていく――これは仕組みの問題であり、個人の努力不足ではありません。Notionを使えば、工場ごとの進捗・仕様書・やり取りの記録を一つの場所に集約できます。本記事では、実際に運用しやすい構成と手順を具体的に紹介します。
Notion管理が向いている理由
スプレッドシートは数値管理には強いですが、仕様書のPDFやチャットのスクリーンショット、長文のやり取りメモを一緒に扱うのは苦手です。Notionはページの中にテキスト・画像・ファイル・テーブルを自由に組み合わせられるため、工場ごとの「カルテ」を作る感覚で情報を蓄積できます。また検索機能があるため、「あの型番の仕様、どこだっけ」を探す時間を大幅に減らせます。
基本構成:工場データベースを作る
まずは全体を管理する「工場マスターデータベース」を1つ作ります。ここに登録する項目の例は以下の通りです。
- 工場名(中国語・日本語表記の両方)
- 担当者名・連絡手段(WeChat ID、メールアドレスなど)
- 取引開始日
- 取引ステータス(商談中/サンプル依頼中/量産中/取引停止など)
- 最新の単価・MOQ(最小発注数量)
- 不良率・過去のトラブル有無
このデータベースの各行(工場名)をクリックすると、その工場専用のページに遷移するように設計します。ここが「工場カルテ」の本体になります。
工場カルテページの中身
1つの工場につき1ページを用意し、以下のセクションを見出し(h3相当)で分けて記録します。
- 基本情報:住所、担当者、支払い条件、輸送方法の指定
- 仕様書ライブラリ:製品ごとの最新仕様書PDFやサイズ表を格納。バージョン管理のため「仕様書_v2_20240501」のように日付を末尾に付けるルールを徹底する
- 進捗トラッキング:サンプル依頼日、修正回数、量産開始日、検品日などをテーブルで管理
- やり取りログ:重要な合意事項や価格交渉の結論だけを箇条書きで残す。チャット全文を貼るのではなく「要点」だけに絞るのがコツ
- 不良・トラブル履歴:発生日、内容、工場側の対応、再発防止策
特に「やり取りログ」は放置されがちですが、ここが薄いと担当者交代時の引き継ぎで詰まります。合意した単価や納期の変更点だけでも、日付付きで一行残しておくと後々の交渉材料になります。
実際の運用例
例えば量産中の工場とサンプル修正のやり取りをした場合、次のようなメモをやり取りログに追加します。
- 「2024/05/10:サンプル3回目、ロック機構の強度不足を指摘。工場側は5/20までに改善サンプル送付を約束」
- 「2024/05/22:改善サンプル到着。強度OK、色味に若干のズレ。次回量産時に色見本を再送予定」
このように「日付+事実+次のアクション」の形式で残すと、後から読んでも状況が一目でわかります。感情的な表現やチャットの雑談部分は省き、事実だけを残すのがポイントです。
運用を続けるためのチェックリスト
Notionは自由度が高い分、ルールを決めないと形骸化しやすいツールでもあります。以下を最低限のルールとして設定しておくと継続しやすくなります。
- やり取り後は当日中に「やり取りログ」へ1行だけでも追記する
- 仕様書は必ずバージョン日付をファイル名に入れる
- 月に1回、全工場の「取引ステータス」を見直す時間を決める
- 不良・トラブルは発生した瞬間にページへ記録し、後回しにしない
- 担当者が複数いる場合は、記入ルールを1ページにまとめて共有する
Notionだけでは埋まらない部分
Notionは記録と検索には強いツールですが、日々大量に届く中国語のチャットを要約したり、返信文の下書きを作る作業までは自動化してくれません。結局「メモを書く手間」自体は人がやる必要があり、多忙な時期には後回しになりがちです。ここを補う形で、チャットを貼るだけで日本語要約と返信文の下書きを作成し、工場ごとの過去のやり取りや単価・不良履歴を記憶してくれるSaaS「BOMEKO」が2026年夏に公開予定で、現在先行登録を受け付けています。Notionでの一元管理と組み合わせることで、記録する手間そのものを減らせる可能性がある選択肢として、気になる方はチェックしてみてください。
