「言った言わない」が起きるのはPSI(最終確認書)がないから
サンプルはOKだったのに量産品で色が違う、ロゴの位置がずれている、付属品が足りない――OEM量産あるあるです。「事前に確認したはずなのに」というトラブルの多くは、口頭やチャットでのやり取りだけで済ませ、書面として残していないことが原因です。量産開始前に工場と共有する最終確認書(PSI:Pre-Shipment Instruction/Inspection Sheet)を作っておくだけで、この手のすれ違いはかなり減らせます。
PSIとは何か、なぜ量産前に必要なのか
PSIは「この仕様・数量・検品基準で量産を進めてください」という内容を、工場と発注側の双方で確認・合意するための書類です。契約書ほど堅苦しくなくても構いませんが、口約束との違いは「後から見返せる」「双方がサインまたは返信で合意した記録が残る」ことにあります。特に以下のようなケースでは、PSIがないと確認漏れが起きやすくなります。
- サンプル承認から量産までに時間が空き、担当者の記憶が曖昧になっている
- 工場側の担当者が途中で交代した
- 仕様変更ややり取りがチャットで散らばっていて、最新版がどれか分からない
- 複数カラー・複数サイズ展開で、組み合わせが多い
PSI作成の手順
ゼロから作る必要はありません。既存のやり取りを整理し直す形で十分です。
- これまでのチャット・メールから、仕様・数量・納期に関する合意事項を洗い出す
- サンプル承認時の写真・スペックシートを手元に用意する
- 下記の項目一覧に沿って、1枚のシート(Excelまたはワード)にまとめる
- 工場に送付し、「この内容で相違ないか」を明記して確認を依頼する
- 工場から返信・訂正があれば反映し、最終版を双方で保管する
送付時の一文例としては「添付の最終確認書(PSI)の内容で量産を進めていただければと思います。ご確認の上、問題なければ『確認しました』とご返信ください。修正点があれば赤字でご記入いただけますでしょうか」といった依頼が実務的です。
PSIに入れるべき項目一覧
業界やカテゴリーによって多少の増減はありますが、基本的には以下の項目を押さえておけば大きな漏れは防げます。
- 商品名・型番・SKU(カラー・サイズごとに分ける)
- 数量(カラー・サイズ別の内訳、合計数量)
- 素材・仕様(材質、厚み、重量などスペック上の数値)
- カラー指定(色番号やPantone、または承認済みサンプル写真の添付)
- ロゴ・印刷・刺繍の位置とサイズ(写真に寸法を書き込んだ図が望ましい)
- 付属品(説明書、保証書、袋、箱などの有無と仕様)
- 梱包仕様(個包装、内箱、外箱のサイズ・材質・印字内容)
- 検品基準(AQLレベル、目視チェック項目、NG例)
- 納期(工場出荷日、検品予定日)
- 出荷先・輸送方法(フォワーダー指定の有無)
- 承認済みサンプルとの相違点がないかの確認欄
特に見落としやすい項目
色・ロゴ位置・梱包仕様は「サンプルを見ればわかるだろう」と省略されがちですが、量産ラインの担当者はサンプル承認のやり取りを見ていないことが多く、書面化しておかないと精度が担当者任せになります。また検品基準は「特に問題なければOK」ではなく、具体的にどこを何個抜き取って見るかまで書いておくと、検品会社に依頼する際もスムーズです。
よくある失敗と注意点
- PSIを送っただけで「確認済み」と思い込む――返信での明確な合意を必ず取る
- 仕様変更があった際に、旧バージョンのPSIが残ったままになる――ファイル名に日付やバージョン番号を入れる
- 写真だけで文字による説明がない――色や寸法は数値でも併記する
- 検品基準を曖昧にしたまま出荷してしまう――数量が多い場合は事前に検品会社との基準合意も済ませておく
PSIは一度型を作ってしまえば、次回以降の発注では項目を差し替えるだけで使い回せます。案件ごとにゼロから作る手間を省くためにも、テンプレート化しておくことをおすすめします。
やり取りの記録が分散しがちな人へ
PSIを作る際に手間がかかる理由の一つは、これまでのチャットやメールに散らばった合意事項を、後からかき集めて整理し直さなければならない点にあります。BOMEKOは、中国・海外工場とのメッセージを貼るだけで日本語要約や返信文の下書きを作成でき、工場ごとに過去のやり取り・単価・不良履歴などを記憶として蓄積できるSaaSです。PSI作成時に必要な「過去に合意した仕様」を探す手間を減らせるツールとして、2026年夏の公開に向けて先行登録を受け付けています。
